リスティング広告の運用や、コンバージョン最適化の現場において「改善」って恐らく最も多く使う言葉の一つではないでしょうか。
私も多分1日数回は使います。月次報告の場とかだと「AをBすることで獲得単価を改善します」とか鉄板の言い回しですね。
で、たまに改善施策で「なんでこんな細かいところから着手しようとしちゃうのかなー?」と思うことがあり、とてもモヤモヤするのでそれについて書こうかと思います。
横やり業者の改善案の例
とあるリスティング広告の運用代行を私がしているクライアントに、コンバージョン最適化系の業者からサイト改善の提案がありました。
いわゆるグロースハックをやりますよ系の会社でした。
- アクセス解析データをもとにサイト構造やページを変えたり
- コンテンツ追加の提案をしたり
- 広告運用に関しても口を出してくる
というサービスを提供。WEBコンサルティング会社とも呼ばれますかね。
で、クライアントから「コンバージョン率が上がるらしいから、この広告グループのリスティング広告のリンク先を変えてほしい!」という依頼が私のもとに来ました。
どうも的外れなリンク先変更の依頼だったので、提案資料を見せてもらったのですが、それがなかなか酷い内容でした。
え、母数少なくね?
「25-34歳の女性ユーザーはTOPページにランディングさせるより、こっちのページの方がいい。なぜならCVRが高いからだ」というような内容だったのですが、問題はその「CVRが高い」ページからの獲得数は月に数件でした。
セッション数が月100で、5件コンバージョンがあるからコンバージョン率5%です、みたいな。そもそもセッション数少ないじゃん!というお話です。
「確かにコンバージョン率高いけど、それ母数少なすぎて比べるレベルじゃないよね?」と、かなり強めに反対しなんとか事なきを得ました。
インパクトの小さい改善に意味なし
この例以外にも、そんな施策してもほとんどインパクト無いよね?っていう提案が結構あります。リスティング運用の改善でも
- コンバージョンのあった検索クエリを完全一致で追加します! →でも1年間で1IMP1クリック…
- コンバージョンが取れないため、〇〇県への配信を停止します! →でも1年間で数千円しか使ってない…
みたいな、ビジネスインパクトのない提案や「やってる感」を出すためだけの施策がいかに多いことか。
そもそもクライアントが広告を出したり、サイト改善をする目的は利益の増加やビジネスの拡大です。ビジネスに影響を与えない≒コンバージョンが増えない 施策なら、やる必要なんかありません。
そのため改善施策は、ビジネスインパクトが見込めるところから着手するのが原則です。
①コンバージョンが1件、CVR1%のキャンペーンでCVRを5%まで上げても獲得数は4件の増加ですが、
②コンバージョンが100件、CVR1%のキャンペーンであればCVRを1.5%まで上げれれば獲得数は50件増えます。
当然、改善施策は②のキャンペーンから着手しますよね。
至極当然の話なのですが、意外とここちゃんと教えられてない人が多いんじゃないかと思ってます。
2:8の法則
ビジネスにおいて2:8の法則は有名ですね。2割の顧客が8割の売り上げを生むとか、そういう話です。
リスティング広告でもこれは当てはまっていて、「2割のキャンペーン(キーワード)が8割のコンバージョンを生む」ってケースが多いと思います。
なので、まずはその2割のキャンペーンでどうすれば改善が出来るかを優先的に考え、施策を実行していきます。
優先度の高いキャンペーンやキーワードのPDCAをガンガン回して、ある程度落ち着いたところで残りのキャンペーンの改善に着手するのが良いかと思います。
「その施策、ビジネスにインパクトある?」と自問しよう
大事なのはやっぱりこれで、クライアントのKGIにどれくらいつながるかだと思います。施策を考える際には、「クライアントの利益につながるか」を意識したいですね。