ここ1年間くらいで、Google社が「3A」という概念をプッシュしています。オーディエンス・アトリビューション・オートメーション(自動入札)の3つの頭文字を取っており、これらを導入することで機械学習を促進させ効率化・効果改善を図りましょう!というのが意図だと認識しています。
Google社の担当が付いているアカウントでもアトリビューションモデルがラストクリックのままだと「変えましょう!」という提案を1度は受けているかと思います。実際に、導入率はかなり上がってきていると聞きます。
アトリビューションモデルを変える時に、どのモデルにしようか…というのは悩ましいポイントですよね。そこでモデルの選び方を私なりに考えてみたいと思います!
Googleがアトリビューションモデル変更を推進する背景
まず、なぜGoogle社がそんなにもアトリビューションモデル変更を推奨するのかというと、その方がコンバージョン数が増えるということに尽きます。
多くのユーザーは行動を完了するまでに複数のデバイスに接触しています。スマホで移動中に情報収集し、後でPCで確認してから行動するという行動をしたことがある方も多いのではないでしょうか。Google社によると、90%のユーザーが行動を完了するまでに複数のデバイスに接触しているとのことです。
また、Google広告で行動までの経路を分析すると、初回は一般ワードで流入し、後から指名ワードで再度訪問して行動するケースも私が運用しているアカウントでは非常に多くみられます。
ラストクリックのみを評価することでの弊害
前述の例でいえば既定のラストクリックアトリビューションを使用している場合、前者のケースではPCでの接触しか評価されず、後者のケースでは指名ワードしか評価されません。
しかし、初回の接触がなければそもそもそのコンバージョンは生まれていなかった可能性があります。しかし、ラストクリックモデルではそこがわかりません。
結果、取る行動としては「スマホのCPAが悪いので入札を下げる」「一般ワードはコンバージョンが取れないので停止する」ということになったりします。
そのため、本来生まれるべきコンバージョンが生まれなくなり、コンバージョン数が減少するということが起こりえます。
効率化・コンバージョン数の最大化のための施策をしているのに、コンバージョン数が減るというおかしな状況になるのです。
もちろん、これは極端な例です。実際にはラストクリックでコンバージョンが取れやすいものが、ファーストクリックコンバージョンも多い傾向があります。
ただ、指名ワード(社名・ブランド)で出稿している場合、ラストクリックは指名に付きやすくなるので、一般ワードが過小評価され、指名が過大評価されるのは非常に多いケースです。
ラストクリック以外も評価することで、予算配分や入札単価を見直す。結果、コンバージョン数が増える、ということで、Google社も強く推進をしています。個人的にも導入して損はないと思っています。
クリック毎にコンバージョンの貢献度を評価することが出来るのがメリット
アトリビューションモデルをラストクリックから変えるメリットは、(ファーストクリックモデルを除いて)これまで1回のコンバージョンに対して最後のクリックにしか付かなかったのが、途中のクリックにも分散して貢献度を付与することができることです。
途中のクリックにコンバージョンデータが分散されることで、入札やターゲティングの見直しもしやすくなりますね。
アトリビューションモデル6種類
Google広告のアトリビューションモデルは全部で6種類です。ヘルプを一部引用しながら説明していきたいと思います。
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ラストクリック: コンバージョン経路で最後にクリックされた広告やキーワードだけに貢献度を割り当てます。初期設定は現在はこちらになっています。
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減衰: コンバージョンまでの時間が短いクリックに、より多くの貢献度を割り当てます。貢献度は7日間の半減期を使って割り当てられます。つまり、コンバージョンの獲得日から8日前のクリックは、コンバージョン達成の前日のクリックの半分の貢献度が割り当てられます。そのため、初回クリックからコンバージョンまでの期間が短いアカウントでは、線形とあまり変わらない、はずです。※間違っていたらすいません。
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線形: コンバージョン経路で発生したすべてのクリックに貢献度を均等に割り当てます。3回の接触であれば1/3ずつになります。
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接点ベース: コンバージョン経路の最初と最後にクリックされた両方の広告・キーワードにそれぞれ 40% の貢献度を割り当て、それ以外でクリックされた広告とそれに対応するキーワードに残りの 20% を均等に割り当てます。間のクリックはあまり意味無いよね、という考え方のモデルですね。
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ファースト クリック: コンバージョン経路で最初にクリックされた広告・キーワードだけに貢献度を割り当てます。
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データドリブン: コンバージョンプロセスにおける重要度に基づいて貢献度が割り振られます。仕組みはかなり複雑ですが、貢献度合いを過去のデータからGoogleが算出してくれる、ということを理解しておけばOKです。データドリブンアトリビューションはデータが大量に必要なため、導入には過去30日間にGoogle検索での15,000回以上のクリックと、コンバージョン600回以上が必要となります。
参考・一部引用:アトリビューション モデルについて – リニューアル版 – Google 広告 ヘルプ
成長志向なのか、慎重志向なのかで選ぶべきモデルは異なる
①~⑤に関しては、番号が若いほうがより慎重志向になっています。
①ラストクリックに近いほうにより比重を置くのが②減衰モデルです。急にモデルを大きく変えたくないのであれば、まずはこちらにしてみると良いでしょう。
ただ、アトリビューションの恩恵である貢献度の再配分は弱くなるので、どうせなら他のモデルの方がわたしとしてはおすすめです。
③線形モデルは全ての接点に均等に割り振られるので、わかりやすいですね。中間の接点にも意味がありそうであれば、このモデルもいいでしょう。中間のクリックが初回と同じキーワードばかり(何回も同じキーワードで流入している)のであれば、あまりおススメはしません。経路の分析はツール→検索アトリビューション→経路の「コンバージョン経路」で見ることができるので、確認しておきましょう。
④接点ベースは最初と最後に重点を置くモデルで、ファーストクリックに置く比重がラストクリック・減衰・線形と比べると高くなります。その分成長志向なモデルになるため、今後よりビジネスを伸ばしたいスタートアップやベンチャー企業、新規事業であればこちらがおすすめです。私はこのモデルにするケースが多いです。
⑥データドリブン(DDA)は導入できるアカウントが限られますが、機械学習の最骨頂ともいえるモデルなので、条件を満たしているのであればこちらがおススメです。Googleも最も推奨しています。
個人的にはファーストクリックアトリビューションも有りだと思う理由
最後に⑤ファーストクリックモデルですが、感覚としてはあんまり選ばれることがない気がしてます。既定のラストクリックの対極にあるモデルだからですね。あまりにこれまでと違うものはなんとなく選びにくいものですよね。
あと、前述の「クリック毎に貢献度を割り振れる」というモデル変更の恩恵が無いのもあまり推奨されない理由ですね。
ただ、個人的には結構アリだと思っています。理由は非常に感覚的で恐縮ですが、コンバージョンするかどうかって初回流入で大体決まってるんじゃないか?と考えているからです。
初回流入で良かったから名前覚えててあとから指名でコンバージョンしたりするわけじゃないですか。その場合指名に貢献度振り分ける理由ないですよね。
しかも、ラストクリックで評価の良い指名ワードとかって、ファーストクリックに変えたとしても大体評価は良いんですよ。
だったら少しでも多く一般ワードへのコンバージョンを分配した方が、ビジネスの拡大に繋がりそうじゃないですか?という理由から、決して悪くないと思います。
指名出稿している場合は特に指名の過大評価が起こりやすいので、ファーストクリックはありだと思いますし、指名出稿していない場合でも特定のキーワードにラストクリックが付きやすい、ということがあればファーストクリックモデルはおすすめです。
あるアカウントでの各アトリビューションモデルの数値例
あるアカウントで各アトリビューションモデルで指名・一般のコンバージョン数割合がどのくらいになるかを出してみたので、参考までに共有します。
前述の説明のように、指名はラストクリックになる比率が高いため、左からラストクリック→ファーストクリックの順に比率が下がりますね。
データドリブンアトリビューションは減衰と近い比率となっています。ご参考まで。
まとめ
以上のようにモデルの選び方は、何を重視するかによって異なります。Google広告のツール→検索アトリビューション→アトリビューションモデリング からどのモデルだとどういう評価になるのか?は簡単に見ることが出来ます。
自社に適したモデルを選ぶ際に少しでも参考になればうれしいです。2019年にはGoogleアトリビューションというプロダクトもローンチ予定ということなので、楽しみです!